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注目店のキラーメニュー villa della pace(ヴィラ・デラ・パーチェ)

 
目の前に広がるのは、穏やかな波が打ち寄せる七尾湾。海を渡る優しい風と鳥のさえずりの中に「villa della pace(ヴィラ・デラ・パーチェ)」はたたずんでいます。海を一望できる大きな窓をもつレストランも、木の温もりが心地よいヴィラも、この土地の空気に溶け込むかのように馴染み、訪れる人を温かく迎え入れてくれます。
 

 
能登の自然から生まれた
自慢の一皿「畑」

 
このお店のキラーメニューが、彩りも鮮やかなサラダ「畑」です。能登で古くから親しまれてきた多種多様な野菜や野草、山菜、きのこ、ハーブなどと出会い、その豊富さと味に魅了されたという平田さん。「どの食材もそれだけで主役になれるものでした。でも、使いきれないというジレンマがあり、だったら一皿にいろいろ盛り込んでしまおうと思いました」と話します。
 

 
当初は20種類程度の食材を使ったメニューでしたが、地元の農産物を知っていく中で使いたいものがどんどん増え、今では100種類以上になることも。使う食材は日によって異なるため、その時々の味を求めて足しげく来店する常連のお客様もいます。食感、味、香りが複雑に絡み合って生まれる絶妙なハーモニーを楽しむためにも、モリモリと頬張って食べるのがおすすめです。
 

 
食材はそれぞれの美味しさを最大限に引き出すため、生のまま使うものもあれば、焼いたり蒸したりしたもの、ピクルスや塩漬けにしたもの、発酵させたものなど様々。旬を過ぎた食材も無駄にせずひと手間を加えることで、新たな味に昇華させたり、ストックして旬以外の時季に提供したりしています。
 

 
一つひとつに工夫を施した食材は、味のバランスを考えながら大きさを整えお皿に盛り付けられますが、ここにも平田さんならではのこだわりが。「できるだけ自然の姿をなぞらえるようにしています」。例えば根菜をお客様からみて先端の部分が手前に来るように盛り付けるのは、根は下に向かって伸びるものだから。エディブルフラワーも全て正面にするのではなく、自然に咲いているようにランダムな向きにします。畑で一緒に育てられている野菜も近くに配置。このような発想が生まれるのも、食材の収穫を平田さんがご自身で行っているからです。
 

 
「私の料理は畑や野山という収穫の場で考えることからスタートします。均一でない、自然の姿は美しい。その美しさを一皿に再現したいんです」と話す平田さん。味付けは基本的に塩とオイルのみ。食材が本来備えている苦味や酸味を知って、調味料に頼り過ぎなくなったといいます。そのことからも自然が本来もつ美しさ、美しい味への深い畏敬の念を感じます。
 

 
全国の産地を回る中で出会った
能登に魅了されて移住・開業

 
以前勤めていた都内のレストランの仕事で、全国の食材の産地を回っていた平田さん。そんな中で訪れた能登に強く心をひかれ、移住・開業を決めました。「産地であればそれだけ質の高い食材が使えます。しかも海に囲まれ里山が広がる能登では、自分の目が届く範囲だけでも使いたくなる食材がたくさんあるんです」とその魅力を語ります。
 

 
生産者を始めとする地元の人たちとの相性のよさも背中を押しました。仕入れ先の農家で野菜を収穫したり、詳しい人に教えを請いながら野草を摘んだりしていくうちに、食材に関する知識を深めていくだけでなく、平田さんの能登への想いも変わっていきます。
 

 
開店当時ははっきりとしていなかった自分のやりたいこと、それは「旬」を表現し、自然の営みを多くの人に知ってもらうことでした。能登は自分にとってやりたいことに手が届く場所だと気づいたのです。しかし、能登の人口減少は続き、自然も、そこから生まれる産物も、今まで通り維持するのが難しくなっていくことは容易に予想できます。この豊かさを守り未来へと引き継いでいくために、自分には食を通じてやれること、やるべきことがまだまだたくさんあるはずだと平田さんは考えています。
 
この場所ならではの時間の流れを
食と滞在で感じてもらいたい

 

 
「pace(平和)」という言葉がよく似合う、波の満ち引きのようにゆったりとした時間が流れるこの場所では、自然の営みの中に自分たちも存在することを実感できます。「レストランやゲストルームの設えも、料理のコンセプトと合わせ、主張の強い作為的な物や大量生産の工業製品より、オーガニックで上質な物を選ぶようにしています」。2016年に七尾市内の別の場所でレストランを開業した時から店名に「villa(郊外の邸宅)」と入れていたのは、最初から自然豊かな場所でレストラン、宿泊施設、農園、自宅を備えたオーベルジュを開きたいと考えがあったから。今ではこのお店でしか体験できない食、そして時の流れを求めて県外からも多くのお客様が足を運びます。
 

 
「駐車場に樹を植えたんです。時間をかけて森のようにしていきたい」と笑顔を見せる平田さん。できることから一歩ずつ、でも着実に歩みを進め、能登の人たちと共に手を取り合いながらこの土地の自然を守り、持続可能な未来を描いていこうという強い想いが伝わってきます。
 

 
【店舗紹介】
villa della pace

 
〒929-2234
石川県七尾市中島町塩津乙は部26-1
12:00~/18:00~
※水・木曜日定休(9月から火・水・木定休)
※新型コロナウイルス感染拡大の影響により、営業時間が変更になる場合がございます。詳しくは店舗へお問い合わせください。
http://villadellapace-nanao.com/