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【匠の皿 vol.13】「鰹の叩き藁燻し 旬野菜とともに 4種の合わせ醤油」MUTO sendagaya オーナーシェフ 武藤 誉貢 氏

 
今回は、“醤油を楽しむための料理”というコンセプトで特別メニューを開発しました。メインとなるのは4種類の合わせ醤油。初鰹や山菜といった春の味覚と合わせるにふさわしい、多彩なラインナップをそろえました。
 

 
合わせ醤油のベースとなる「割り返し」には、「ヤマサ重ね仕込しょうゆ 本懐石」を使います。ポイントは沸騰する寸前で火を止めること。醤油本来のふくよかな香りと旨味のある割り返しになります。土台がしっかりとした割り返しであれば、合わせ醤油にしたときに食材それぞれの個性を上乗せすることができます。きりっとした風味の玉ねぎは、繊維に沿って薄くスライスして漬け込むと、やさしい甘みが溶け込んだ「玉ねぎ醤油(写真中段右)」になり、焼きニンニクと一緒に寝かせれば、ニンニクの旨味が味に厚みを生む「焼きニンニク醤油(写真中段左)」に仕上がります。シンプルな組み合わせですが、ゆっくりと熟成させることで醸し出されるおいしさをしみじみ実感いただけると思います。
 

※写真最上段から時計回りに、湯葉醤油、玉ねぎ醤油、納豆醤油、焼きニンニク醤油
 
“濃厚な味わいの醤油”という新たな体験をできるのが「湯葉醤油(写真最上段)」。肝になるのが麹醤油です。米麹と割り返しを合わせて発酵させることで、口当たりなめらかな甘みの濃い麹醤油ができ上がります。湯葉のクリーミーな味わいもいいですが、隠し味で「ヤマサうにソース」を入れると、味に一層深みが出るのでおすすめです。
 

 
最後に紹介したいのが「納豆醤油(写真最下段)」です。変わり種とあなどるなかれ、周りの方から好評をいただいています。その秘訣は、隠し味の焼きニンニク。納豆特有の香りを抑え、発酵食品ならではの旨味が引き出されます。「本当に納豆が入ってる?」と驚くこと間違いなしの仕上がりですので、ぜひお試しいただきたいです。
 

 
今しか味わえない旬の食材を使うからこそ、その下ごしらえにもこだわりがあります。合わせ醤油につけて食べる野菜や山菜は、それぞれの食材に適した調理法で下処理をしてから、冷やした「白返し」に軽く漬け込んで香りをつけます。数種類の出汁や煮切りみりん、「ヤマサうすくちしょうゆ」などを合わせて作った白返しは万能。薄めればお浸しにも使えるので、ご家庭の常備調味料としてもきっと重宝するはずです。鰹の藁焼きは、乾いた藁と塩水に漬け込んで湿らせた藁の2種類を使い分けます。はじめは塩水に漬け込んだ藁を燻して藁の香りをつけ、その後に乾いた藁で表面をこんがりと焼き上げます。初鰹でしたら脂が少ないので、軽く燻す程度がちょうどいいです。
 

 
刺身というとツマや醤油は脇役というのが通説ですが、「鰹の叩き藁燻し 旬野菜とともに 4種の合わせ醤油」を食べていただければわかるはず。「野菜や醤油って、こんなにおいしいんだ」と。調理のひと手間、食材を熟成させる時間、そして料理する人ならではの自由な発想力で、脇役にスポットライトを当てられることを、ぜひ味わいながら感じていただきたいです。
 
「鰹の叩き藁燻し 旬野菜とともに 4種の合わせ醤油」のレシピはこちら