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【匠の皿 vol.19】「旬の鮮魚さらだ仕立 源氏香醤油を添えて」 ロイヤルパークホテル「源氏香」料理長 岩田 好輝 氏

 
今回開発した「旬の鮮魚さらだ仕立 源氏香醤油を添えて」は、旬の食材をふんだんに盛り付けた冷菜料理に、お客様が薄氷の蓋を溶かすサプライズを組み合わせたメニューです。薄氷の蓋は、スイーツのチョコレートドームから着想を得ました。お客様自身が料理を完成させる演出には、外食ならではの体験を通じて、その時間が特別なものになればという願いを込めています。
 

 
“おいしさ”と“楽しさ”を兼ね備えた一皿を実現するためには、メニューを構成するすべての要素に“繊細なこだわり”を行きわたらせることが必要です。薄氷は、溶けた後に料理と一体になることを想定して、「ヤマサ 貝だしつゆ」と「ヤマサうすくちしょうゆ」で風味付けした出汁でつくります。醤油ドレッシングをかけた瞬間に溶け始めるよう、2mmの厚みは徹底していただきたいです。
 

 
薄氷の蓋から姿を現す、10種類の魚介と野菜には、日本料理の細やかな技法を散りばめています。食材は色味の組み合わせを念頭に選んでおり、鮪は焼霜作り、茄子は地漬けなど、食材ごとに適した調理・味付けを施します。また、薄氷が溶け始めた瞬間から食材の彩りが目に入るよう、器の中心部分にバランスよく盛り付けます。
 

 
旬の食材の持ち味を引き出すうえで欠かせないのが、お手製の調味料です。醤油ドレッシングのまろやかな酸味は、食材の旨味や香りの輪郭をはっきりとさせます。さらに、私が手塩にかけて開発した「源氏香醤油」を薬味代わりに合わせると、驚きのおいしさに出会えます。干した貝柱・海老の熟成された旨味が奥深い味わいを生み、エシャロットとアーモンドのカリカリとした食感が良いアクセントになります。魚介や野菜に合うのはもちろん、しゃぶしゃぶなどの肉料理とも相性抜群の、まさに万能調味料です。
 

 
醤油ドレッシングと源氏香醤油にはそれぞれ異なる個性が光りますが、ベースには「ヤマサ重ね仕込しょうゆ 本懐石」を使用しています。追い麹製法ならではのどっしりとした旨味は様々な食材の特長を下支えしてくれるため、源氏香醤油のように力のある食材と合わせる際に重宝しています。私はヤマサ醤油を愛用するに至るまでに、数多くの醤油を試しました。お客様の期待を超える感動を提供するためには常日頃から好奇心を持ち、より良い食材・調味料を追求し続けることが必要だと考えています。
 

 
「旬の鮮魚さらだ仕立 源氏香醤油を添えて」は、季節ごとの食材や風情を取り入れることで、新たな一面を見せてくれるのではないでしょうか。今回は蓋の枠に晩白柚を使いましたが、夏は青竹に薄氷を張り、涼しげな世界観を表現するのも良いですね。お客様の思い出として何年経っても色あせない一皿をつくることは、私の料理人人生において掲げている目標です。それを実現し続けるため、これからも“美食”としての日本料理をさらに追求し、そして感動の源泉となる“エンターテインメント性”を貪欲に磨いていきます。
 
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