1*おいしさのヒミツ2*しょうゆの魅力3*しょうゆの上手な利用法
  1*おいしさのヒミツ
しょうゆは、古くから日本人に愛され、さまざまな料理に使われてきました。料理にしょうゆを加えるだけで風味が増し、一層おいしくなります。しょうゆ独特のあのおいしさは、味の成分はもちろん、香りや色など、さまざまな要素で作られているのです。
香りうま味相乗効果pH豆知識



しょうゆには、五原味が勢揃いしています。五原味とは食べ物の味を作る、甘味・酸味・塩味・苦味・うま味、の5つの味のこと。大豆と小麦、塩を原料とするしょうゆが、五原味を全て含むほど深みある味を持っているのは、大豆と小麦に含まれる成分が、醸造期間中に様々な味や香りの成分に生まれ変わり、それらが単に混ざり合っているだけでなくそれぞれが作用し合い、全体として調和のとれた味を作るからです。

しょうゆから食塩を除くと、とても甘く感じるということを知っていますか?しょうゆには、グルコース、ガラクトースなど約15種類もの糖分が3〜5%含まれているのです。甘味は、しょうゆ全体の味をやわらかく、まるみをもたせる働きをしています。
しょうゆには、乳酸を主として約15種類の有機酸が含まれ、同じ濃度の食塩水よりも高い殺菌効果があります。酸味は塩味をやわらげ、味にまるみをつける役割もあり、本醸造しょうゆのpH(酸性・アルカリ性)は最もおいしさが感じられる弱酸性になっています。
しょうゆの食塩濃度は海水の5〜6倍もあり、この高い食塩濃度が殺菌効果をもたらしてくれます。しょうゆが海水より塩辛く感じないのは、酸味やうま味などの成分によって塩味がやわらげられているからです。
しょうゆに含まれる苦味成分は、直接苦味を与えることはなく、その味にコクを加える隠し味的な存在で、全体にしまりを与える働きをしています。
原料の大豆、小麦に含まれるたんぱく質は、こうじ菌によって醸造期間中に分解され、約20種類のアミノ酸がつくられます。これらの多くはしょうゆのうま味成分となりますが、特にグルタミン酸が多く含まれ、大きな働きをもっています。
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香りによって味の感じ方はまったく変わります。しょうゆもあの香りがなくては、しょうゆらしさはまったくなくなってしまうに違いありません。しょうゆに含まれるたくさんの香り成分が、深い味わいとおいしさを与えているのです。


主に原料の小麦のでんぷんが、醸造期間中にこうじ菌や酵母、乳酸菌の作用を受けて、アルコール、有機酸となって、しょうゆの香り成分がつくられます。現在、しょうゆに含まれる香りの成分は、バラやりんごなどの花・果物の香り、そしてウィスキーやコーヒーの香りなど、なんと300種類以上も発見されています。しょうゆの特有な基本的な香り成分(HEMFと略される)に、実に多種多様な香りの成分が調和し、あたかもオーケストラのハーモニーのように、快く感じられる香りになっています。


しょうゆに2〜3%含まれるアルコール類は、しょうゆの発酵中につくられ、しょうゆの香りを引き立てる要素として重要な成分です。調理の際、アルコール類は火や味の通りをよくし、すべての香りの成分を引き立てるので、例えば、フランス料理によくワインを使うように、酒を上手に取り入れることは、料理のコツとなっています。また、しょうゆを加熱すれば、生のときにはない、芳ばしい香りが引き出せます。これは加熱によって「メラノイジン」ができることによります。この芳ばしさを上手に利用したのが、アメリカなどでも評判になっている「照り焼き」です。
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しょうゆの色は黒褐色、と思っている人が多いのではないでしょうか?しかし、コップに入れて光に透かしてみると、実は透明感のある赤みがかったツヤのある色をしていることがわかります。この鮮やかな赤褐色は、よい原料を使い、時間をかけてていねいに醸造された、「おいしいしょうゆの印」です。このような美しい色をしていることもあって、しょうゆは高貴な色「むらさき」の異名をもっているのでしょう。


よい原料でじっくりと作られた赤くきれいなしょうゆでも、その色と味は時間とともに変化していきます。しょうゆの色は、特に酸素による影響をうけやすく、開封した後そのままにしておくと、色が濃く黒ずんできます。気温が高いと酸化はさらに早くすすむので、封をあけたしょうゆは、容器内の空気量の出入りをなるべく少なくするためにもきちんとフタをしめ、保存時は必ず直射日光を避けた冷暗所に置いておきましょう。もちろん、色とともに風味も落ちてしまいます。


しょうゆの色の成分のメラノイジンは、酸化して色が濃くなる性質があります。しかし、色が濃くなることは悪いことばかりではありません。このメラノイジンが、加熱によっても酸化することで、しょうゆは調味料としての優秀さを発揮しているのです。魚や肉を煮炊きするとき、メラノイジンが自ら酸化することで魚や肉の生臭みを還元し、食べやすくしてくれます。このように自身が酸化することで相手を還元させる力を「還元力」といいます。しょうゆは還元力があるため、脂質が酸化し、変質するのを防ぎます。しょうゆで煮詰めるつくだ煮は、このしょうゆの還元力を上手に生かした料理法です。
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しょうゆのうま味成分に大きな働きを担っているのが、グルタミン酸。良質なこいくちしょうゆには、このグルタミン酸が1.5%ほど含まれています。これは、食塩含有量のほぼ10分の1。実は、最もおいしいと感じられる塩味とうま味の比率がまさに10対1で、しょうゆ中の塩味とうま味成分としてのグルタミン酸は、その比率に近く、科学的にもバランスのとれたおいしさとなっているのです。
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あたり前ですが、しょうゆを使うと料理がおいしくなります。これは、うま味成分である「グルタミン酸」のおかげで、しょうゆの味が料理に加わる以上のおいしさが作られているからです。グルタミン酸は、強いうま味をもたらしてくれるアミノ酸ですが、ここに、かつお節や肉のうま味の5'-イノシン酸や、しいたけなどのうま味の5'-グアニル酸など他のうま味成分と合わさると、相乗的にうま味が増し、料理をさらにおいしくしてくれます。そばつゆは、しょうゆのうま味とかつお節などのうま味の相乗効果をうまく生かした調理法です。
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食べ物のおいしさに、酸性、アルカリ性が関係していることをご存知ですか。すべて食べ物は、pH(酸性・アルカリ性の程度の尺度)をもっていて、そのpHの数値によって人はおいしさを感じます。私たちがおいしいと感じるものは、ほとんどが酸性に傾いており、pH7を超えて、アルカリ性になると物足りない味に感じます。しょうゆのpHは最もおいしさが感じられる「弱酸性」になっており、さらに、アルカリ性の食品を食べやすい弱酸性に動かす力も持っています。アルカリ性の納豆や生卵に、しょうゆをさして食べるというのも納得です。
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しょうゆは熱、酸素、カビが大敵です。せっかくのおいしいしょうゆも、保存方法を間違うと品質が低下し、風味も落ちてしまいます。正しい保存方法を守って、おいしく料理に使って味わいましょう。
使った後はしっかりと栓を閉め、酸化とカビの侵入を防ぐ。
大型容器から移し替える場合は、短期間で使いきることができる大きさの容器を選び、極力空気との接触面を小さくして酸化を防ぐ。
冷蔵庫など低温の場所に保存し、火のそばや直射日光があたる場所に置かない。

賞味期限がきれ、色が濃くなったしょうゆでも、毒があるわけではないので、工夫しだいでまだまだ使うことができます。
しょうゆは加熱すると芳ばしい香りが生まれる、という特徴を利用し、
・焼き肉のタレやつくだ煮のような煮詰める料理に。
・みりんやだしとともに煮る煮物などに。
 
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