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【匠の皿 vol.14】「サーモンのティエド 焦がしバター醤油のサバイヨン」 コンラッド東京 山本 紗希 氏

 
「サーモンのティエド 焦がしバター醤油のサバイヨン」は、“ほんのり温かい(ティエド)”サーモンと、卵・バターを使用したソースがよく合うオリジナルメニューです。フランスではおなじみのサバイヨンソースから着想を得て、コクのあるソースにぴったりの食材としてサーモンを選びました。
 

 
メニューを開発するうえで意識したのは、“フランスで親しまれている味をどのようにして日本人にもおいしく味わってもらうか”です。そのカギになるのが、醤油の使い方。まず、サバイヨンソースには隠し味としてひとたらし。焦がしバターと醤油をうまく調和させ、日本人に馴染みのある風味をまとわせます。さらにエスプーマを使って泡状にすることで、重厚感のあるソースが一変、ふわっと軽い味わいになります。
 

 
サーモンのティエドの調理ポイントは、オーブンの温度を40℃に保ち、ゆっくりと均等に火を入れること。皮目はフライパンで軽く焼いて、食感にコントラストをつけます。カリッとした皮目と、とろっとした口溶け。この至福の食感には、フランス料理の技が詰まっています。仕上げに塗る醤油は、ソースとの統一感を出すうえで欠かせません。直感的に「おいしい!」と感じてもらうには、外食だからこそ楽しめる“非日常のおいしさ”に、普段の生活で食べ慣れている“いつもの味”の面影を添えることが大切。メニュー開発を通じて、醤油には日本人と万国の様々なおいしい料理をつなげる力があると感じました。
 

 
今回使用した「ヤマサ 鮮度生活 うすくち丸大豆しょうゆ」は、フランス料理ならではの五味を引き立てながらも、醤油の風味が上品に伝わってきます。特に驚いたのが、焦がしバターの苦味や赤紫蘇の酸味、サバイヨンソースの甘味やマーガオのスパイシーな香りといった、複雑な味わいと調和する“調味料としての懐の深さ”。周りを活かしつつ、さりげなく主張できる醤油として、フランス料理との相性がとても良いと思います。
 

 
世界中で新鮮な食材が手に入るようになった今、料理界全体において、食材そのものの味を活かすシンプルな調理法が注目されています。そのトレンドのなかで、醤油が世界でどのように活躍するのか。“日本の調味料”というイメージがある醤油ですが、今後あらゆるジャンルの料理に活用されていく可能性は大いにあると思います。私としても「サーモンのティエド 焦がしバター醤油のサバイヨン」を通して、伝統あるフランス料理界に“新しい風”を吹かせることができれば嬉しい限りです。
 
 
「サーモンのティエド 焦がしバター醤油のサバイヨン」のレシピはこちら