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【匠の皿 vol.23】「バターナッツときのこのShojinプリン」 Shojin 宗胡 オーナーシェフ 野村 大輔 氏

 
私の店は精進料理を提供していますから、海外からのお客様を含めて健康志向の高い方が多くご来店されます。精進料理というとお寺で出される料理をイメージされる方が多いのですが、来店されたお客様には、そのようなイメージを超越した新しい料理を提供したいと、日々挑戦を続けています。「バターナッツときのこのShojinプリン」もそんな想いから生まれたメニューです。
 

 
最初に、プリンの中に入れるきのこ炒めを作ります。使うきのこは、しいたけ、エリンギ、しめじ。複数のきのこを一緒に使うことで複層的な旨味を引き出せます。きのこは0.5㎝程の短冊に切り、サラダ油で炒めましょう。その際、旨味も香りもしっかりと出すために強火ではなく中火で炒めるのがコツです。
 

 
きのこがしんなりしたら軽く塩、こしょうで味をつけて、仕上げに鍋肌から「ヤマサしょうゆ」を回し入れます。この時、鍋肌から入れるのは、香ばしさを加えるためです。いい香りになったら火からおろしましょう。
 

 
次に、プリンのベースを作っていきます。バターナッツの皮をむき、適当な大きさに切って10~15分蒸します。この時、バターナッツの下の丸い部分は後で器として使うので、別に残しておきましょう。竹串がスッと入るくらい柔らかくなったら蒸し器から取り出し、温かいうちに裏ごしします。最近スーパーなどでも目にする機会が増えたバターナッツは、日本で一般的に食べられているかぼちゃに比べて柔らかく、みずみずしさとさっぱりとした味わいが特徴です。プリンを滑らかに仕上げるのに適しているので、この料理の主役に選びました。
 

 
裏ごしが済んだバターナッツに豆乳と出汁を混ぜ合わせます。出汁は昆布出汁と野菜出汁を同量合わせたものです。その後に「ヤマサしょうゆ」を入れ、最後に餅粉を3、4回に分けて加えます。素材を引き立てる「ヤマサしょうゆ」の香りやコクが気に入り、私の店ではずっと使い続けています。調味料は料理の味を決める大切な存在。変えてしまうと料理そのものが違ってしまうので、使い慣れたものは手放せません。
 

 
プリンベースに、きのこ炒めを混ぜ合わせます。先ほど残しておいたバターナッツの下の丸い部分の種をくり抜き、きのこ炒めを混ぜたプリンベースを詰めて15分蒸したら完成です。食器を使用してもよいのですが、このように素材を器にすることで、見た目のインパクトに加えて、器部分も食べられるという楽しみもあります。
 

 
「バターナッツときのこのShojinプリン」は蒸し料理になるので、コースの一品として煮物の後にお出しすることになります。プリンと聞くと普通はデザートだと思いますよね。その予想に反して、醤油の香りを効かせたプリンがコースの途中に登場することで、ワクワク感を提供できますし、お客様との話のきっかけになると考えました。
 

 
私の店では「野菜パフェ」という山菜や海藻などをパフェのように美しく盛り付けたメニューも提供していますが、ただ新しい食材や調理方法、盛り付けを、なんでも取り入れているわけではありません。精進料理のイメージをよい意味で裏切る、目を喜ばせる華やかさや、意外性のある美味しさをお客様に体感していただきたいという想いが第一にあります。西洋野菜や新たな調理方法には、そんな料理の幅を広げてくれる役割を期待しています。
 
「バターナッツときのこのShojinプリン」のレシピはこちら