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【匠の皿 vol.12】「桜鱒 桜醤油焼き 白酢クリーム掛け」

 
今回の特別メニューは「春」をテーマに考案しました。春と言えば、桜と新緑の季節。名前の響きからも春を感じる桜鱒と、香り高い桜の葉を中心に、日本ならではの春を楽しんでいただける一品に仕上げました。
 

 
まず料理の第一印象となるのは、ふわっと漂う桜の香り。桜鱒の香りづけに使用する桜オイルは、米油など香りの少ない油に桜の葉を入れて密閉し、40~60度のお湯につけて桜の葉の香りを抽出します。低温でじっくりと煮出すことがポイントなので、お湯を張った炊飯器に入れて、保温モードで温めて作ることも可能です。味の決め手となる「ヤマサ北海道昆布しょうゆ」と合わせる際には、ゆっくりと少しずつ垂らしながらかき混ぜてください。しっかりと乳化できたら、桜鱒の漬けダレの完成です。
 

 
3月から5月にかけて旬を迎える桜鱒は、甘みのある脂が程よく乗った柔らかい身が特徴です。そのおいしさを引き出すためには、下ごしらえのひと手間が大事になります。あらかじめ全体に塩を振り、身から浮き出てきた水分をやさしくふき取ることで、桜鱒そのものの旨味やほろっとした食感、桜オイルの香りを存分に楽しめます。火を入れるときは、炭の配置を調節しながら、焼きが足りないところには直接炭を近づけて厚みのある部分にもムラなく火が通るように。脂が落ちた時の燻煙が醤油の風味をさらに際立たせるので、火の使い方は非常に大切です。
 

※撮影時は、桜鱒の代わりに霧島サーモンを代用
 
焼きあがった桜鱒に合わせる白酢クリームは、豆腐が固くならないように60度くらいの低温で茹でてから、米酢や生クリームとともにフードプロセッサーにかけます。桜鱒の柔らかな身と一体感を生むふわりとした食感の白酢クリームになるよう、こまめに柔らかさを確認しながら仕上げてください。盛り付けは、春らしい清涼感を感じていただくために、百合根と生野菜でシャキッとしたみずみずしさをプラス。百合根は切り口を紅で染めて桜の花びらに見立て、視覚でも春の到来を感じてもらえるかと思います。
 

 
日本料理の醍醐味は、四季折々の“風情”を楽しめること。旬の食材を使用するだけではなく、味、香り、食感などの五感でその季節を連想できるよう、細かなひと工夫の積み重ねを大事にしていただきたいです。そんな想いで考案した「桜鱒 桜醤油焼き 白酢クリーム掛け」が、食を愛する一人ひとりに喜んでいただけたら嬉しい限りです。
 
「桜鱒 桜醤油焼き 白酢クリーム掛け」のレシピはこちら