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     華やかな銀座中央通り6丁目の交差点を折れると、レトロな外観の建物が目を引きます。有名店が多く入るそのビルにあるのが、「銀座神谷木挽庵」。代表を務めるのは日本料理界の重鎮、神谷昌孝氏です。
     神谷氏が料理の道を選んだのは15歳の時。生まれ育った名古屋のほど近くにある老舗旅館「千歳櫻」(ちとせろう)で修行を開始。千歳櫻では、人間国宝の器を使ったり、全国から呼び寄せた一流の料理人から技術を教わるなど、貴重な機会に恵まれました。
     神谷氏が生涯師と仰ぐ、竹内啓恭氏との出会いもこの頃。「弟子が誰ひとり続かない」と評判の竹内氏に呼ばれ、神谷氏は東京に拠点を移します。平日は老舗料亭で、土日は師匠の老舗旅館の厨房で、勉強の日々。
     「師匠の口癖は〝料理は真心こめて〟。沸騰した湯に手を入れ、火傷しそうな鍋も平気で持つ。つねに料理に全力を注いでいるから、モタモタすると叱られる。次に師匠が何をするか、目が離せない。その師匠の姿から料理を学びました」。
     竹内氏の弟子であることも神谷氏の信頼につながり、20代の若さで赤坂の料亭の料理長に就任。後に独立します。
     神谷氏の料理の魅力は、日本料理の伝統を守りながら、洋の食材も取り入れる独創性。「おいしいものを見つけると、どうしたら日本料理に合うか考えるのが楽しい」と神谷氏。中でも、裏ごししたフォアグラを山芋羹(やまいもかん)にし、山葵酢(わさびず)で合わせた一品は「こんな料理初めて」とお客様を驚かせ、その縁で調理師学校の教鞭をとることにもなりました。
     「フレンチの赤ワインソースはなかなか味が決まりませんでした。そこで少ししょうゆを垂らしてみたら、一発で味が決まった。しょうゆは世界一の調味料だといいますが、本当にそう」。神谷氏にとって、しょうゆといえばヤマサ。「体に染み付いています。ヤマサしょうゆはカドがなくて、まるみがある。私の料理はすべてヤマサのしょうゆで開発してきました」と打ち明けます。
     煮炊きの最中、色を見れば味がわかるというほど、しょうゆを知りつくす神谷氏は、若い人はしょうゆを使いすぎると指摘します。
    「煮炊きは薄いおつゆから、しょうゆを少しずつ足すのが基本。しょうゆは火を入れると刻々と味が変わる、まさに七変化。その変化を感じて、体で覚えることが大事」。

    神谷昌孝 氏

    銀座神谷木挽庵/代表 神谷昌孝 氏

     さらに「師匠は〝あの料理はおいしかった。今度こうやってみよう〟とよく言いました。料理人は自分が一番と思ったらダメ。つねに他人のよい点を学ばないと。それに、やったことのない料理をつくるのは面白いからね」と笑います。この飽くなき好奇心が、神谷氏の日本料理の真髄かもしれません。

    「銀座 神谷木挽庵」

    東京都中央区銀座6-8-7 交詢ビル4階
    電話:03-5537-7700
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