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プロの料理人が読んでいる情報誌

  • 名物の鯛茶漬けには、味の邪魔をしない、 すっきりしたしょうゆが欠かせません。

    プロの技 拝見

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    「銀座うち山」は、銀座通りや歌舞伎座界隈のにぎわいから少し離れた一角にあります。地下に下りていく階段から始まる白と黒の落ち着いたエントランス、そして店内は白木のカウンターに赤い輪島塗の壁が印象的です。店主・内山英仁氏は32歳のとき、この店を開きました。
    もともと喫茶店でもやろうかと入学した調理師学校で料理の面白さに目覚め、特に日本料理が自分に合うと自覚。就職は格式のある店の中から、あえて給料の安いところを選択したそうです。「その分、修行させてもらえると思いました」内山氏はそう振り返ります。
    日本料理店での修行後は、居酒屋やしゃぶしゃぶ店など、業態にとらわれない和食店で働き、串焼きチェーンでレシピ開発も担当。「そのままでしたら、串焼きチェーンの重役だったかもしれません(笑)」。
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    多種多様な調理場を経験し、さらにカウンター仕事を学ぶべく「銀座あさみ」へ。そこで鯛茶漬けと出会いました。うち山の開店後、ランチメニューは悩んだ末に鯛茶漬けに決定。「結局私自身が、鯛茶漬けが好きなのです」。
    「銀座うち山」の鯛茶漬けは、いまや昼もなかなか予約が取れないほどの人気です。そのたれのベースに使われているのが、ヤマサのしょうゆ。「だしの味を損ねず、食材の邪魔をしない、すっきりした味わいがいいのです」。
    魚の臭みをとるなど、日本料理はまず引くところから始まると言われます。「だれもが最初は、料理は調味料で味付けするものと勘違いしますね」。ところが素材の良いものを使って調味料を減らしていくと、素材の持ち味が表れます。「臭みなど必要のないものを取り除く、または足りないものを足すのが、しょうゆなど調味料の役目だと思いますね」。
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    さらに内山氏は、日本料理と切り離せないと、お茶を習い始めて15年。お茶には茶室、庭、花、器など、おもてなしの要素がすべてあります。料理は 年経験を積めばできても、お店のあり方はそれ以外のところにあると言います。カウンター越しに料理をお出しする呼吸にも、通じるものがあるそうです。
    出身校である調理師学校では、講師も務めています。そこで学生に伝えるのが、「目標を持つ」大切さ。「駅に行っても目的地がないと、電車に乗れません。もし他にやりたいことが見つかったら、途中で変更すれば良い。やることを決めれば、自分に何が必要かが、見えてくるのです」。さまざまな経験を積んできた、内山氏ならではの教えと受け取りました。
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