

話題になったのが、炙り漬けサーモンの棒寿司。握り寿司にしなかったのは、「自分よりその道のプロにまかせるべきだ」という信念からでしたが、初めて食べる押し寿司を、ニューヨーカーたちが絶賛。人気メニューになり、NYタイムズにも取り上げられました。
炙ったサーモンの漬け地に使われているのが、ヤマサのしょうゆ。「コクとキレのある、すっきりした味わいがいいですね。焦がしじょうゆもつくりますが、やはりヤマサ。火を入れるとわかります」。修業時代に煮方をまかされていた時、しょうゆの使い方一つで料理が変わることを学んだと言います。 懐石に用いる旬の食材の入手には、やはり苦労が多いそうです。それでも米国に来てよかったと思うのは、他の一流シェフから受ける刺激。名だたるシェフたちが来店し、園氏のレシピにすごく関心を持って聞いてくるそうです。

2012年のハリケーンでは、店も大きな打撃を受けました。「水には浸かりませんでしたが、下ごしらえしていた食材を停電でほとんど失ったのです。この時はマスコミが『(被害のあった)レストランへ行こう』と呼びかけてくれました」。
NYは、一つ信念があれば貫ける場所だ、と園氏は語ります。園氏自身、自動車会社でメカニックを6年経験してから渡米。下働きから和食の道に入り、いま高い評価を受ける料理長の言葉には、大きくうなずけるものがありました。”