TSAb
本キットの特徴 / 効能・効果 / 臨床上の有用性 / 開発の経緯 /抗TSHレセプター抗体の測定法 /
バセドウ病の診断と経過観察に /各種甲状腺疾患におけるTSAb活性 / 包装・製品コード / 参考文献

本キットの特徴
1. ブタ甲状腺細胞を用い、短時間培養が可能となり特殊な培養装置や無菌操作を必要としません。
2. ブタ甲状腺細胞と甲状腺刺激性自己抗体との生物学的反応をとらえます。

効能・効果
血清中の甲状腺刺激性自己抗体(TSAb)活性(TSAb%)の測定

臨床上の有用性
本キットはバセドウ病の診断に有用です15)
1. 未治療バセドウ病が96.6%の陽性率で診断可能です。
2. 甲状腺機能亢進症を示すバセドウ病と破壊性甲状腺機能亢進症(無痛性甲状腺炎、亜急性甲状腺炎)との鑑別診断に有用です。

開発の経緯
 バセドウ病患者の血液中に存在する甲状腺刺激物質については、Adams1.2)によるLATS(long acting thyroid stimulator)の発見以来種々の測定方法を用いて研究が行われ、TSHレセプターに対する甲状腺刺激性自己抗体(thyroid stimulating antibody : TSAb)の存在が明らかになってきました3)。最近ではヒトTSHレセプターの全一次構造が明らかになり4-6)、甲状腺刺激性自己抗体の結合領域についての研究や、甲状腺刺激活性を持つ抗TSHレセプター抗体作製の研究などが試みられています。
 TSAb活性の測定は、刺激性抗体による甲状腺からのcAMPの生産量、T3あるいはFT3分泌量などを指標とした方法で、ヒト甲状腺細胞、ブタ甲状腺細胞、さらにはFRTL-5継代培養細胞などが用いられています7-12)。これら細胞を用いた検査はいずれも無菌的な長時間培養が必要であり、特殊な施設でしか行われませんでした。
 一方、Smithら13)は可溶化したブタ甲状腺膜分画に被検血清と125I-TSHを加え反応させて、被検血清中のTSHレセプター抗体による125I-TSHのTSHレセプターとの結合阻害率(%)をTSHレセプター抗体値として測定する方法を開発し、この方法は臨床検査として使用されています。しかしながらこの方法では甲状腺刺激活性の有無を測定することはできません。
 これらの問題を解決するため、甲状腺刺激性自己抗体活性測定を目的としたキットの開発が進められました。
 本キットに使用する甲状腺細胞は長時間におよぶ無菌的な継代培養を必要としないブタ甲状腺遊離細胞を用い、測定原理は被検血清をポリエチレングリコール(Polyethylene Glycol : PEG)処理したイムノグロブリン画分(IgG画分)を測定対象サンプルとし、サンプル中に含まれるTSAbの刺激によりブタ甲状腺細胞から生産されるcAMPの濃度をRIA法により測定します14)。被検血清とコントロール血清のcAMP生産量の比率からTSAb活性を算出する方法です。

抗TSHレセプター抗体の測定法

TSAB原理
図-1

バセドウ病の診断と経過観察に
バセドウ病の診断に有用です
未治療バセドウ病患者の96%でTSAb活性が陽性を示しました。18)

ROC曲線18)
カットオフ値を正常者のMean+2S.D.(183.1%)にあたる180%に設定し、その際の感度(有病正診率)は96.6%、特異度(無病正診率)は93.1%でした。
TSABROC
図-2

各種甲状腺疾患におけるTSAb活性19)
TSAB臨床
図-3

包装・製品コード
1キット48テスト用
製品コード:YSI-7735
1キット96テスト用
製品コード:YSI-7735W

参考文献
1. Adams, D.D. & Purves, H.D. : Pro. Univ. Otgo. Med. Scool., 34:11, 1956.
2. Adams, D.D. & Kenndy, T.H. : J.Clin.Endocrinol. Metab., 27.173, 1967
3. Kriss, J.P., et al. : J.Clin.Endocrinol. Metab., 24:1005, 1964
4. Nagayama, Y., et al. : Biochem. Biophys Res.Commun. 165, 1184, 1989
5. Libert, F., et al. : Biochem. Biophys Res.Commun. 165, 1250, 1989
6. Akamizu, T., et al. : Proc. Natl. Acad. Scad. Sci. USA 87, 5677, 1900
7. Orgiazzi, J., et al. : J. Clin. Endocrinol. Metab., 42:341, 1976.
8. McKenzie, J.M., ET AL.: J. Clin. Endocrinol. Metab., 7:31, 1978.
9. Kasagi, K., et al., J. Clin. Endocrinol. Metab., 54:108, 1982.
10. Kasagi, K., et al : J. Clin. Endocrinol. Metab., 62:855, 1986.
11. Kasagi, K., et al.: Acta Endocrinol., 115:30, 1987.
12. 玉置治夫 他 : ホルモンと臨床 34:841, 1986
13. Smith, B.R. & Hall, R. : Lancet, 2:427, 1974.
14. 長田篤雄 他 : ホルモンと臨床 41:1023, 1993
15. 吉村弘 他 : ホルモンと臨床 42:167, 1994
16. 吉村昌佳 他 : 日本臨床代謝学会記録 26:222, 1989
17. Yamazaki, k., et al. : J. Clin. Endocrinol. Metab., 80:473, 1995
18. 上條 桂一 他 : 医薬と薬学 42,851. 1999
19. 内分泌学会サテライトシンポジウム発表演題より抜粋