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シェフの裏技 スペシャルインタビュー シェフの裏技 スペシャルインタビュー

イル ギオットーネ

笹島 保弘(ささじま やすひろ)シェフ

大阪府吹田市に生まれる。デザイナーを志すが、次第に料理に惹かれ、ついにはイタリア料理を本格的に修業するようになる。24歳で初めてシェフを任され、その後は独学で研鑚。32歳時にはTV「料理の鉄人」にも出演。38歳で、独立し、京都に「イル ギオットーネ」をオープンする。以来、イタリアンの明日をデザインするかのように、古都京都、また東京で出店をおこなっていく。

シェフにお話を聞いてきました

イタリアに京都という州があったら

イタリアで修業した後、縁あって京都に店を構えることとなりました。最初は食材もイタリアから調達していたのですが、鮮度も低く、なかなか向こうで感銘を受けた味にはならない。そこでイタリア人の友人に「イタリア料理とは?」と尋ねたところ「その土地の食材を使い、土地の人間が作る料理」って言うんです。ミラノはミラノ、ローマはローマ、では自分が京都に居ながら京都の食材を使わずに料理するということは、このイタリア料理のコンセプトに反するのでは?と気付きがあったわけです。そこからは、「もしイタリアに京都という州があったら」をテーマとし、地元の食材を使い始めたのが今のスタイルのはじまりです。
僕は日本料理がとても好きで、普段食べに行くのも和食が多いのですが、そこで「教えてもらわない」ようにしています。食べた時の香りや食感などから「ここがイタリアで、しょうゆや味噌も無かったらどうやって調理するんやろ」って考えると、そこからイタリア料理のフィルターを通して料理される訳です。最初から教えてもらってしまうと、自分で考えずどうしてもその通りにやってしまうでしょ。なので、初めての材料には、まず自分自身であたって、イタリア人だったらどう作るんだろうと考えを巡らすんです。

しょうゆの香りを活かす熱の通し方がポイント

「おしょうゆで茹でる お揚げといろんなキノコのスパゲティ」は、パスタの下味にしょうゆを使うことで、和風だけでなくミートソースなどの洋風味にも合うので、ご家庭でも是非色々なパスタで試していただきたいですね。今回は、しょうゆと昆布のダブルの旨味、そこにお揚げの油分と合わさったきのこの旨味も加わって、トリプルな美味しさになります。
「鮭と季節のお野菜のホイル焼き」は、ベネツィアのゴンドラに見立てたホイルの形がが面白く、おもてなしにもおすすめな一品。仕上げに熱々のホイルを開け、ソースをかけると香りがとても華やかに立つので、しょうゆの鮮度と香りを活かすことがポイントです。
「あさりと水菜のあっさり簡単リゾット」は七草粥をイメージしたレシピ。トマトもチーズも使わないやさしい味わいです。リゾットは生米から作ると20分ほどかかってしまいますが、冷ご飯を使うことで簡単にできます。冷ご飯を使いながらもリゾットらしい食感に仕上げるのがポイント。出汁を煮詰めたところに、しょうゆを入れることで香りが活きます。

しょうゆ本来の赤さを実感

鮮度の一滴」は香りがとても良いので、なるべくダイレクトに、そのまま使うのが良いと思います。例えば煮物でも、最後の仕上げに火を止めたところにしょうゆを入れて、余熱で香りをたたせるなど、加熱をしすぎないというのがポイント。口に入るまでの時間を短くするのが大切だと思います。使いきりやすいサイズもいいですね。僕らプロのキッチンでも使いやすいと思います。色もきれいで、赤い。「鮮度の一滴」を使うと、本来しょうゆがこういう色だというのがよく分かりますね。

笹島保弘シェフの裏ワザレシピ